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心を開いて・・・第7章
Your dream I believe 
2000年10月
海亜 作


静寂な時間だけが流れる。夜風を感じていた。
『やっぱ、まだ夏なのかな。涼しくないね。』
私がそう言った。
『ん?あぁ。』
『でも、後もう少しで秋かぁ。人・・・』
恋しくなる季節。と言いたかったけど止めた。
遠くを見ている滝沢くんの横顔が自分を視野に入れてない気がしたから。

リーンリーン
辺りは鈴虫達が鳴いている。
その声に誘われるかのように滝沢くんが口を開いた。
『あの明かりの中には、どんな人達が居るんだろう。
その中に恋、仕事、勉強とかで、すっげ〜悩んでる人。
いっぱい居るんだろうなぁ。俺なんて・・・』
静かに、自分に問いただすように話してくれた。

明日のコンサートが思うように行かなくて焦ってる。
自分で決めて進んで来た道が正しいのか。
好きな事が出来る環境で甘えてていいのだろうか。
周りのプレッシャーが重く感じ逃げ出したくなる。
そんな事を思う自分が嫌だと。

私は飾らない言葉で言った。
『大丈夫。絶対に大丈夫だから。自分を信じて。』
本当にそう思った。慰めなんかじゃない。
見えない努力を常に心掛ける。そんな君をいつも見てたから。

『ありがとう。』
目が潤んでる?月明かりだけで、それを確認する事は出来ない。
以前、滝沢くんが私に言ってくれた言葉を思い出した。

泣いていいんだよ・・・

私は勇気を振り絞って言った。
『泣いても・・・いいよ。』
『あっ。大丈夫。そんな気分じゃないから。』
『そっか。残念。滝沢くんの泣いたとこ見てみたかったなぁ〜。』
『俺の泣き顔なんか見ても何の得にもなんないよ。
でも。。。弱み握れるかも。』
『じゃぁ、やっぱり見せてよ。』
『ダメ。絶対見せないっ!』
『ケチー!』
『そんな怒んないでよぉ〜。あっ、前に俺が言ったの覚えてる?
“泣きたい時には思いっきり泣いていいんだよ”
って教えてくれた人が居たって話。』
『うん。もちろん。』
『あれ。佳子さんなんだ。』
『えっ。そうだったの?』
『今でも感謝してる。あの時、救ってくれた事。
俺・・・なんかあの人好きなんだよなぁ〜。温かいつ〜の?』
『うん。凄く心が温かいよね。私も佳子さんの事、大好き。』
そう言うとお互い自然に笑顔になった。

『あ〜、なんか話たら気が楽になった。』
滝沢くんは、そう言うと急に歌い出した。

マンションの最上階から
ちょっとだけRomanticな街の夜景を見ながら

Girl freind 少しずつ寂しがり屋になっている
こんな僕でも君を 抱きしめてあげるよ

いつでも素直な訳じゃないけど
笑顔な訳じゃないけど
忘れないでいて決して 揺れないこの想いを

胸の中で願いを込めて おやすみ

『これ、明日ファンの子の前で始めて歌うんだ。
でも倫子さんに1番最初に聴かせたかったから・・・。』
ドキッ!
そんな大胆発言しないでー!また寝不足になっちゃうよ。。。



―つづく―




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