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恋に気づいた夜 第7章
shooting star
2000年11月
海亜 作


『もしかして倫子さん?』
『うっ、うん。ごめん。仕事中だよね?』
『あっ、今休憩中だから。大丈夫。』
『あのね・・・今度会えるかな?』
『いいよ。』
そして約束をして電話を切った。

それから数日が過ぎ約束の日を向かえた。天気は良好。
私は前の日に友達から車を借りた。白のワゴンR。
『免許証と財布と・・・あっ!弁当。』
せっかく早起きして作ったのに忘れるとこだった。

そして急いで待ち合わせの場所に車を走らせた。
でも通勤ラッシュに遭い、なかなか進まない。
車内の時計を見る回数が増える。
AM9:40、9:45、9:50・・・10:30
『うわぁ〜。もうこんな時間。30分遅刻だぁ。』
急いで路駐し、滝沢くんの元に走った。
ベージュの帽子を深く被って壁にもたれてる人。

『ごめん!遅くなって。』
私は小声で言った。周囲の人に気づかれたくなかったから。
『いいよ。全然。でっ、どこ行く?』
『横浜までドライブなんてどう?』
そして車を走らせた。

『今日は天気が良いねぇ〜。雲1つ無いもん。』
滝沢くんが空を見上げて言った。
『えっ?そうなの?』
そう言って私も見ようとした。運転してる最中なのに。
『うわぁ〜!ちょっと危ないよ。もぉー。』
滝沢くんは焦ってバタバタしてる。
『ごめん。ごめん。』
私は笑いながら答えた。
『友達よく貸してくれたよなぁ。。。』
『えっ?なに?』
『うわっ。だっ、だからちゃんと前見て運転してよぉ・・・』
途中までギャーギャーうるさかったけど
横浜の街に近付く頃には安心していたのか眠そうだった。

それから有名な公園の側の小さな公園で弁当を食べた。
『これ倫子さんが作ったの?』
『うん!』
『うまそぉ〜!いだだきま〜す。』
そう言って食べ始めた。
『おっ、美味しい・・・?』
私が恐る恐る聞いてみた。
『うん。まじうめぇ〜。』
笑顔で答えた後、また黙々と食べ始めた。

それから満腹になったのか滝沢くんは眠ってしまった。
スースー
寝息が聞こえる。長いマツ毛と泣きボクロが色っぽい。
そして柔らかそうな唇に吸い込まれてしまった。

『うぅ〜ん。』
閉じていた瞳が開かれた。
『ごっごめん。起こしちゃった?』
私は焦って答えた。気づいてる訳ないのに・・・
『あっ、俺こそゴメン!つい寝ちゃった。』
やっぱり気づいていない様子。

『ねぇ〜。これから海に行かない?』
滝沢くんの一言で行き先が決定した。
冬の海はどこか寂しそう。
砂浜に腰を下ろして荒く高い波をただ見ていた。
どれ位時間が流れたのだろう。

『キレイ・・・』
私が地平線の彼方に沈む夕日を見て言った。
『うん。そうだね。』

それから夕日がすっかり沈んで夜の気配。風が冷たい。
『もう寒いね。帰ろうか。』
そう言って立ち上がろうとした。
その時、腕を捕まれた。
『もう少しいいでしょ?』
真剣な表情。そして熱い眼差し。。。

―つづくー




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