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君を守りたい 第3章
stay with me
2000年12月
しいな 作


「ごちそうさま。おいしかったぁ。」
「ねぇー!」と山Pと斗真くんと顔を見合わせてそう言った。
そして、滝沢くんにお辞儀。
「いえいえ、どーいたしまして喜んでいただければ幸いです。
ところでこれからどうする?カラオケでも行く?」
「僕と山Pは明日学校があるのでこの辺で失礼します。」
「滝沢くん、ごちそうさまでした。また、打ち合わせで・・。」
「おお、じゃなー。気をつけてな!」
2人がこっちに手を振りながら帰って行く。
「翼は?どーする?」
「オレはさ・・美果さん送ってくわ。」
翼くんが・・何か照れてる。あらぁ・・もしかして・・もしかするかも。
「なんかねー。家近いみたいなの。だから途中まで一緒にって。」
美果はにっこりと笑う。
「いえ、家まで送ります。」
「あ・・ありがとう。」
美果もなんだか戸惑ってる。うーん、翼くんがんばれ。
「そっか・・まぁ・・後でな・・。」
2人は並んで歩いていった。

「オレ達はどーしよう?車でもあればなぁ・・いいんだけど。」
「あたし、車あるよー。今度・・みんなで海でも行こうか?」
なんて、お気軽に誘ってる。忙しいから無理だと思うけどなぁ。
「オレ・・ふたりがいいな・・。」
「えっ・・滝沢くん?」
私は・・彼の顔を見つめる。いつになく真剣な表情。
そして、彼が歩き出す。私はそれに付いていく。って感じで・・。
地下鉄で電車が来るのを待っている。
「今日はありがとう。また、今度誘ってよ。ああ、さっきの海でもいいし。」
私が彼にそう告げる。




 電車が来る。かぜが心地よい。
すると、滝沢くんが隣に並ぶ。
電車が止まってドアが開く。人が降りてくる。
「じゃぁ・・また・・えっ!?」
滝沢くんが私の手を掴んで一緒に電車に乗り込んだ。
私は何も言えずにいると。
「家まで送るよ。」
優しくそう言ってきた。そして掴んだ手を離した。
私は、思わず彼の腕に手をからめていた。
彼は戸惑ったみたいだけど、そのまま家に着くまで手を繋いだ。
その間何も言えなくて・・話さなかった。

「あの・・ここなの・・家。」
私が立ち止まって滝沢くんに言う。
彼は、ジーパンのポケットに両手を突っ込んでいる。
意を決したように私を見る。
「あのさ・・オレ・・。カンナさんのこと・・好きなんだ。」
彼は手を離して、私の正面に立ってそう言った。
「あっ、えっ?私なんかでいいの?」間抜けな声を出してしまった。
恥ずかしくて顔を見れない。下を向いてしまう。
「カンナさんだからいいんだよ。また、会ってくれる?」
すごいうれしくて涙が溢れてきた。
「私もずっと好きだったの。でも、手の届かない人って思ってたから・・。」
そう言うと、華奢だと思っていた体に包まれる。
「ほんと?すっげーマジ嬉しい。最高!!」
そして、ぎゅっと抱きしめられる。
私こそ、夢のようだよ。醒めないで欲しい・・。
ふと、委ねた身体が解放されると、肩の付け根の辺りを両手で掴まれる。
ちょうど、彼が首を傾げると、すぐ目の前に整った顔がある。
私は目を瞑る。自然にそうなった。
やわらかい・・やさしい感触・・。
そっと、触れて・・数秒の間時間が止まったみたいだった。
唇が離れた後、再び抱きしめられた。



 あの後、家の前で別れた。
「また、電話する。あっ、これ・・渡しておく。」
メモをくれた。見ると、携帯の番号とメールのアドレスだった。
私は彼を見送って、自宅に戻る。
ふと、電話が鳴ってる。

「もしもし?門倉ですけど・・?」
「・・・・・」
反応がない。誰だろう?
「もしもし?あの・・」
そして切れた・・。何なんだろ?
その時幸せな気分だった私に思いも寄らないことが起こりだしたのは・・。
その夜からだった。


―つづく―




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