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君を想うとき・・・ 第8章
we can fall in love
2000年10月
海亜 作


今日はドラマ『太陽は沈まない』の撮影が有った。
滝沢くんがスタジオ入りしたのは午後5時過ぎ。
昨日コンサートを終えたばかりなのに・・・疲れてるだろうなぁ。

『おはようございま〜す』
この業界らしい挨拶をして入って来た。

『おはようございます』
私達も挨拶を交わした。

『昨日はありがとうございました。でっ、どうだった?』
『もぉ〜凄く良かったわよ〜。私ますます好きになっちゃった』
佳子さんは私の言いたい事を素直に言える可愛い人。
『アハハ。サンキュ〜っす。でっ、倫子さんは?』
『お疲れ様でした』
『えっ?それだけ?他には?感動した!とか惚れ直した!とか』
『ほっ、惚れ直すって・・・あっ!思い出した。1つ驚いた事が有った』
『なになに?』
佳子さんも興味深々な顔で私の答えを待ってる。う〜ん。。。言い難いなぁ。
『・・・予想以上に歌が上手かった』
『ありがとう。ってそれ誉めてんのぉ?何かバカにされた様な・・・』
『あら、予想以上って事は凄く上手だったって事じゃない』
『だって・・・予想以上って事はさぁ〜』
『何言ってんの!それ最高の誉め言葉よ〜。ねぇ〜、倫子ちゃん』
『あっ、はい』
『まっ、そういう事にしとくか。
ほんと、佳子さんには頭が上がらないんだよなぁ〜。でも、やっぱさぁ・・』

滝沢く〜ん。打ち合わせするよー。

ドラマスタッフの人がタイミングよく声を掛けた。

『ちっ!邪魔が入ったか。じゃ、また後で』
『はいはい。行ってらっしゃい』
佳子さんは笑顔で軽くあしらった。

『佳子さんって滝沢くんに信頼されてるって感じですね』
『まぁ〜ねぇ〜。昔私の胸で泣い・・・あっ、っと。これは内緒だったわ』
最後の言葉が聞こえなくて聞き直したが教えてくれなかった。
何だろう。。。気になるなぁ。

『ところで、倫子ちゃんは滝沢くんの事好きじゃないの?』
『えっ!とっ、突然何言い出すんですか?』
焦って答える私を見て楽しんでる様に見えた。
『だって、昨日のコンサートの最中に目がハートになってたもん。
あれは恋してる目だったわよ〜。違うの?』
『・・・実は。好きになっちゃいました』
『やっぱり〜。じゃ、今日から貴方と私とはライバルよ。覚悟はいい?』
そう言いながら顔は笑ってる。やっぱり、からかわれたんだ・・・
『いいですよぉー。私も負けませんよ〜』
つられて私も笑いながら答えた。

すると今度は一変した真剣な顔の佳子さんが熱く語ってくれた。
『ほんとに倫子ちゃんが滝沢くんと付き合えばいいと思ってるのよ。
だって、滝沢くん人見知り激しいでしょ?
いつも側で見てて痛々しくなる時が有るの。
それに1人でジュニアを支えてる感じで・・・
かなりストレスも貯まってると思うの。
だから、そんな時に側に居て安心出来る人の存在って大きいじゃない?
それが倫子ちゃんならいいなぁ。。。って前から思ってたの』

俺にとって佳子さんはお姉さんで有り、時には母親のような存在。

前に佳子さんが過労でダウンした時に滝沢くんが言った言葉。
私は、それを思い出し胸が熱くなった。

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