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Everything… 最終章 
2000年12月
海亜 作


『ねぇ〜?なんで、そんなに落ち込んでるの?』
滝沢くんの言葉が胸に突き刺さる。
『だって・・・。』
覚悟決めてたんだから。
なんて言えない。

言葉が見付からず黙り込んでる私を見て滝沢くんが言った。

『倫子さん“眠りたい”って言ったよね?』
『うっ、うん。』
『だから“ダメ”って言ったの。』
『へっ?どう言う事?』
『やっぱり鈍感だね。』
滝沢くんは笑って言った。

訳が分からず困ってしまった。
眠りたいって言った事がいけない事なの?
あっ!もしかして・・・。
私は再度、勇気を振り絞って言った。

『一緒に一晩過ごしたい。』
『うん。』
甘い声。そして大人びた笑み。
その表情に心臓破裂寸前。

『クスッ。倫子さん・・・顔真っ赤。』
『も〜!茶化さないでよ〜。』
『そんな怒らないの。』
そう言って顔が近付いて来た。頬に甘く短いKISS。

そして手を繋いで寝室に向った。
ベッドに2人座り、目と目を見詰め合う。
MDから流れる曲が気持ちをより一層高めた。

すれ違う時の中で
あなたと めぐり逢えた
不思議ね 願った奇跡が
こんなにも そばにあるなんて

『ねぇ〜。倫子さん・・・ネックレスは?』
『あっ、今度会った時に着けてもらおうと思って・・・。』
『今、持ってる?』
『うん。』
私は持って来たカバンの中から宝飾箱を取り出した。

『はい。』
滝沢くんに渡した。
それを黙って受け取り背後から、そっと着けてくれた。

そして、そのまま私の肩を抱きしめた。
包み込むように優しく。
滝沢くんの逞しい胸を背中で感じる。


『ずっと・・・一緒に居ようね。』
耳元で囁かれた。
“うん。”
私は黙って返事をした。
抱きしめている腕の力が増した。力強く・・・ギュっと。

『好き・・・。大好き。』
込み上げて来る感情を押さえられず言った。
『うん。俺も。』

You're everything
You're everything

あなたが想うより強く
優しい嘘ならいらない
欲しいのはあなた
Oh・・・Yeah・・・

明け方。
目を覚ました。
隣を見ると幸せそうに眠ってる顔。
右手は私の頭の下、左手は私を抱え込んでる。
寝顔が、たまらなく可愛いい。
このままずっと見ていたいなぁ・・・。



でも、私は朝食を作ろうと思い、その手を外した。
起こさないように、そっと。

そして部屋のドアを静かに開けた。
と、その時。滝沢くんの声がした。



『うっ、う〜ん・・・。どこ行くの?』
まだ寝ぼけてるのか目が、うつろ。
『あっ、ごめん。起こしちゃった?』
『ねぇ〜。こっち来て・・・。』
『えっ?うっ、うん。』
そして側に行った。
『どうしたの?』
『おはようのKISSして。』
『えっ!!』
『早く。』
そう言って腕を捕まれた。

もぉ・・・。
なんて思いながら、そっとKISSをした。


『サンキュ〜!じゃぁ、おやすみ。』
そう言ってまた目を閉じた。
『えっ?また寝るの?』
『うん。』
瞑ったまま答えてる。
『ったく〜。』
『また目覚めのKISSで起こしてよ。ね?』
『ワガママ〜。』
『そうじゃないと起きないよ。ボク。』
僕って・・・。子供みたい。

『分かった。ご飯の用意が出来たら起こすね。』
そう言ったけど・・・聞こえてない様子。
寝息がスースー聞こえた。

あなたと
離れてる場所でも
逢えば いつも
消え去って行く
胸の痛みも

You're everything
You're everything

こんな清々しい朝を迎えるのは初めてかもしれない。
あなたに出逢えて私は沢山の愛情を貰った。
あなたに出逢わなければ感じなかった喜び、悲しみ、切なさ・・・。
色んな感情が私を包んでくれる。

You're everything
You're everything
You're everything

幸せそうに眠ってる顔を見て思った。
あなたの全てが・・・私の全て。

My heart longing for you
会いない夜も、そっとあなたを想ってる。
We'll make it last forever
いつの日か・・・一緒になれる日を信じていたい。

―完―




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